
ガソリンや灯油の価格が上がると、「日本に原油はないのか」と気になる方もいるかもしれません。結論から言えば、日本でも原油は採れます。ただし、その量はごくわずかで、原油自給率は長年0.5%未満です。
限られた国産原油の中心にあるのが新潟県であり、その歴史をたどれる場所も残っています。この記事では、日本の原油生産の概要、新潟の原油生産とその歴史、現役施設の見どころまでご紹介します。
目次
●日本の原油生産の概要
●国産原油の中心・新潟県の現在
・南長岡ガス田
・岩船沖油ガス田
●新潟に残る石油産業の歴史
・石油の世界館
・新津油田金津鉱場跡
・出雲崎石油記念館
・瀬波温泉
●まとめ
●関連記事
●参考リンク
日本の原油生産の概要
よく知られているとおり、日本は必要な原油のほぼすべてを海外から輸入しています。2024年度(令和6年度)の国内原油生産量は年間約38.5万kLで、同年度の原油輸入量約1億3600万kLの約0.28%、量にするとおよそ1日分に過ぎません。日本でも原油は採れますが、その規模はきわめて小さいのが実態です。
その限られた国内の油田は日本海側に集中しており、同年度の県別比較では、新潟22.1万kL、北海道6.7万kL、秋田6.5万kLです。この3道県だけで全国生産の91.7%を占めています。
油田が日本海側に集中している理由としては、日本海の拡大に伴って日本海側に石油がたまりやすい堆積盆が形成され、その後の地殻変動で油田として成立しやすい構造ができたことが挙げられます。
現在生産中の主な油田(及び油ガス田)には、以下のようなものがあります。
新潟県:岩船沖油ガス田、南桑山油田
北海道:勇払油ガス田
秋田県:申川油田、八橋油田、鮎川油ガス田、由利原油ガス田
山形県:余目油田
国産原油の中心・新潟県の現在
2024年度(令和6年度)の新潟県の原油生産量は22.1万㎘で、国内原油生産38.5万㎘の57.4%を占めています。新潟だけで全国の過半を超えており、現在の日本の産油の中心と言えます。
2023年(令和5年)の県内原油生産の内訳は、以下のとおりです。
中越:62.8%(南長岡49.8%、片貝10.7%、吉井2.3%)
下越:37.2%(岩船沖27.3%、東新潟5.5%、南桑山4.0%、中条0.4%)
新潟の原油生産は、長岡周辺の内陸帯と、胎内・村上側の沿岸・沖合帯の二つで支えられています。
南長岡ガス田
県内最大の産地が南長岡です。名称はガス田ですが、県の原油生産の中心でもあります。操業はINPEX、1984年(昭和59年)からプラントを稼働させています。
地下約4,000~5,000mにまで掘られた坑井から産出流体がプラントに送られ、そこで天然ガス、原油、水に分離されます。その後天然ガスはパイプラインで都市ガス事業者などへ送られ、原油はタンクローリーでオイルターミナルへと搬出されています。
岩船沖油ガス田
県内第2位、下越最大の産地が岩船沖です。岩船沖油ガス田は胎内川河口から約4km沖合に位置し、国内で現在唯一の、海上プラットフォームで生産操業中の油ガス田です。操業はJAPEX、JPO、MGCなど、1990年(平成2年)に洋上プラットフォームが建設され生産を開始しました。
採掘深度は約1,400~3,000m、産出流体は海底パイプラインで東新潟の陸上基地へ送られ、そこで天然ガス、原油、水に分離されます。その後天然ガスは東新潟火力発電所へ送られ、原油はタンカーで石油精製会社へと搬出されています。
新潟に残る石油産業の歴史
新潟にとっての石油は、現在も生産が続く資源である一方、日本の近代産業の歴史の一部でもあります。ここでは、代表的な施設と遺構を紹介します。
石油の世界館
石油の世界館は、金津油田を中心とする石油採掘の歴史や、石油と人とのかかわりを紹介する展示館として1988年(昭和63年)に開館しました。館内には、採掘に使われた道具や写真、石油の誕生や利用を説明する模型や資料がそろっており、新津丘陵で何が起きていたのかを概観できます。
📍新潟市秋葉区金津1172番地1
🚗磐越自動車道「新津IC」から車で約20分
新津油田金津鉱場跡
新津油田金津鉱場跡は、1874年(明治7年)から1996年(平成8年)まで操業が続いた、近現代の石油採掘・精製施設跡です。油井のやぐら、ポンピングパワー、処理施設などがまとまって残っています。原油を採掘し、処理し、送り出すまでの仕組みを現地でたどれる遺構です。
我が国近代のエネルギー産業の発展を知る上で重要であることなどから、2018年(平成30年)10月15日に史跡として指定されました。
📍新潟市秋葉区金津字居村599番1 ほか
出雲崎石油記念館
出雲崎は、米国から輸入した石油掘削の機械方式を用い、商業生産として成功した日本最初の地とされています。出雲崎石油記念館は、道の駅「越後出雲崎天領の里」の時代館に併設されており、出雲崎の石油生産の歴史を展示しています。
📍新潟県三島郡出雲崎町大字尼瀬6番地57(道の駅「越後出雲崎天領の里」時代館内)
🚗北陸自動車道「西山IC」から車で約20分(寺泊方面へ)
瀬波温泉
瀬波温泉は、明治37年(1904年)、石油掘削中に熱湯が噴出したことをきっかけに開かれた温泉地です。資源開発の試掘が、現在の温泉街の出発点となりました。
📍新潟県村上市瀬波温泉2丁目5-36
🚗日本海東北自動車道「神林岩船港IC」から車で約15分
まとめ
日本でも原油は採れますが、その量はごくわずかです。その中心にあるのが新潟県で、現在の国内原油生産の過半を占めています。
新潟県には、今も原油生産を支える現役拠点がある一方、石油の世界館や新津油田金津鉱場跡、出雲崎石油記念館、瀬波温泉のように、石油開発の歴史を伝える場所も残っています。新潟は、現在の産油県であると同時に、日本の石油産業の歴史をたどれる土地でもあります。
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参考リンク
・資源エネルギー庁
・新潟県「石油(原油)・天然ガス」
・石油の世界館
・新津油田金津鉱場跡
・出雲崎石油記念館
・瀬波温泉
2026-03-19:初版公開
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この記事を書いた、み喜森(Mikimori)店主です。
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