
お土産屋さんやネットショップで見かける「伝統工芸品」。
なんとなく「国が認めた工芸品」みたいに聞こえますが、実はそうとは限りません。
国の制度として、法律にもとづいて定義されているのは「伝統的工芸品」です。
一方の「伝統工芸品」は、日常的にはよく使われるものの、国指定を意味する法律上の公式呼称ではありません。
この記事は、「伝統工芸品」と「伝統的工芸品」の違いを解説して、誤解やトラブルを防止することを目的としています。
結論:法律で定義されるのは「伝統的工芸品」
「伝統的工芸品」とは、伝統的工芸品産業の振興に関する法律(通称:伝産法)にもとづき、経済産業大臣の指定を受けた工芸品のことです。
経済産業省の説明では、次の要件(要旨)をすべて満たし、指定されたものとされています。
・ 主として日常生活の用に供される
・ 製造過程の主要部分が手工業的
・ 伝統的な技術・技法
・ 伝統的に使用されてきた原材料
・ 一定地域で相応の規模の製造(従事者が少なくない)
また、国が指定した品目数も経済産業省ページで公表されています(2025年10月27日時点で244品目)。

新潟県村上市の特産品、「村上木彫堆朱」も「伝統的工芸品」の一つですね。
では「伝統工芸品」とは何か
「伝統工芸品」は、長年にわたり地域に根付き、受け継がれてきた伝統的な技術・技法によって作られた工芸品のことです。
ただし、「伝統的工芸品」の場合と異なり、法律で定義された用語ではないため、話し手の意図によって意味合いが変わることがあります。
・ 国の制度(伝産法)で指定された「伝統的工芸品」を、ざっくりとそう呼んでいる
・ 県や市、団体などが独自基準で認定した工芸品を指している
・ 公的な指定を意識せず、地域に根づく伝統技術の工芸品を総称している
・ さらにこれらを混ぜて使っている
「伝統的工芸品」のつもりで使われていることもあるため、誤解が起きても、言葉としては間違いに見えにくいことがあります。
よくある質問(FAQ)
Q. 「伝統工芸品」と書いてあった=国が指定した工芸品?
A. 断定できません。国が法律にもとづいて指定する制度用語は「伝統的工芸品」です。
Q. 「伝統的工芸品」と「伝統工芸品」、どちらを使うのが正しい?
A. 制度に基づいた指定品の話をするなら「伝統的工芸品」。ジャンルとして広く語るなら「伝統工芸品」。
Q. 「伝統的工芸品」は価値が高く、「伝統工芸品」は価値が低い?
A. 一概にそうとは限りません。両者は、価値の高低を区別する用語ではないからです。
ただし、「伝統的工芸品」は伝産法にもとづき経済産業大臣が指定する制度上の区分です。このため、一定の要件を満たすこと(伝統的な技術・原材料・地域性など)が含意されています。
他方、「伝統工芸品」は一般用語なので、国指定の有無に関係なく幅広い工芸品を指し得ます。このため、話し手が具体的にどのようなものを想定しているか確認するのが無難です。

「一点物で、しかもお手頃価格の伝統工芸品が欲しいです。」
(み喜森で扱っている本堆朱の根付ストラップを想定していますよ~)
Q. 「伝統的工芸品」かどうかを確実に確認する一次情報は?
A. 経済産業省の「伝統的工芸品」ページ(定義・要件・指定品目)と、伝産法(e-Gov法令検索)です。
まとめ
・「伝統的工芸品」=法律(伝産法)+経済産業大臣指定、という制度用語
・「伝統工芸品」=慣用的な総称
参考リンク
・経済産業省「伝統的工芸品」
・経済産業省「伝統的工芸品の指定・変更」
・e-Gov法令「伝統的工芸品産業の振興に関する法律」

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